午前5時の三日月

深夜、ポッドキャストの録音を終えてから銀座へ。

銀座の土曜日といえば映画の日である。

その帰り道。

自転車で月島に戻る途中、和光の前あたりでふと見上げると三越のビルの向こうの方にぼんやりとした光がみえた。しばらくいって、
歌舞伎座を通り越したあたりで月がみえた。おぼろに輝く三日月であった。

上弦の月の最後といった感じだろうか。月の左半分が輝くのが下弦の月。右半分だと上弦の月である。

月をみていたら、そのまま帰るのが惜しくなり、トマトジュースとビールを買った。

この飲み方、タドがよくやっていた。

先週、朝シャンという言葉を久しぶりに聞いた。

朝にシャンプーすることかと思いきや「朝にシャンパンを飲む」
ことだそうである。

普通やらないと思うけれど、自分にとっては懐かしい。

学生時代のある夜の事。

その数日前、後輩の友人に頼まれてちょっと世話してあげた。お礼にこのお酒を渡してくださいと言われました、
と後輩がお酒を届けにきてくれた。

お酒についてはよくわからなかったので、ありがというと言って冷蔵庫に入れておいた。

そのころは朝7時くらいに眠るのが常だったのだがその日は寝付かれずなんだかノドが乾いていた。そういえば昨夜、
後輩がお酒を持ってきてくれたっけ。そう思って冷蔵庫をあけ包みをほどくとシャンパンであった。シャンパンといっても水分には違いない。

子供の頃に飲んだメルシャンのジュースみたいなものだろう。そう思っていた。

ポンと音を立てて栓が開いた。

グラスについで飲んでみる。

ン?!

アレ?!

なんか美味しいぞ。不思議なのである。ワインやビールよりも美味しいのだ。これは一体?!
飲みながら気持ちがもりあがってきてしまいキーボードに向かって文章など書き始めたら、これが妙に楽しい。気づくと1時間くらい経っていて。
良い感じである。

意外に美味しいじゃないか、なかなかいいぞ。

と気分良く眠った。

翌日、後輩がたずねてきた。

「カガヤさん、昨日のお酒ってなんでした?」

「あ、あれ。いやー、美味しかったよ!そこに空き瓶おいてあるよ」

「へー。アァァァ!!!!!!カガヤさん!!!」

「ン?!」

「美味しいって。カガヤさん、これドンペリじゃないですか!!!しかもこれロゼですよ!
!!」

「ヘッ?!」

「エッって何で、オレも呼んでくれなかったんですかーーーーーーーーー!!」

なるほど美味しかったわけだ。あれが世にいうドンペリというヤツだったのか。
ドンペリというモノを飲んだのははじめてだったが確かに美味しかった。ノドが乾いていたせいもあったけれど、
朝に飲んだシャンパンがドンペリだったとは。

しかも全く気づかずに飲んでいたのが良かった。先入観になしに純粋に味を楽しんだわけだ。

加えていうとコップ酒状態でやってしまった。けれど、いまだにこの時飲んだシャンパンが一番、美味しかったように思う。



ドン・ペリニヨン・ロゼ・[1995]年

(これだったのか…。スマン、次回は誘うよ…)

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